ガイド
マクロ栄養素をわかりやすく
たんぱく質、炭水化物、脂質をわかりやすく:それぞれの働き、必要な量、配分の決め方
| 栄養素 | 1gあたりのカロリー | 主な働き |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 4 | 筋肉や組織をつくり修復する。いちばん満腹感がある |
| 炭水化物 | 4 | 体にとっていちばん速いエネルギー源。食物繊維も含む |
| 脂質 | 9 | エネルギーを蓄え、ビタミンA、D、E、Kを運ぶ |
| アルコール | 7 | 栄養としては不要 |
たんぱく質
たんぱく質は、筋肉、皮膚、酵素、ホルモンの材料となるアミノ酸でできています。大人には1日に体重1kgあたり少なくとも0.8gが必要です。LeidyらがAmerican Journal of Clinical Nutritionに発表したレビューによると、減量中は1.2〜1.6gとると満腹感を保ち、筋肉を守りやすくなります 1。管理された給食研究では、たんぱく質をカロリーの15%から30%に増やすと、人々は意識しなくても1日約440kcal少なく食べるようになりました 5。筋トレをしている場合、たんぱく質を増やすと効果がさらに伸びますが、1日に体重1kgあたり約1.6gを超えると、それ以上の効果はほとんどありません 6。
炭水化物:糖、でんぷん、食物繊維
炭水化物には、主に3つの形があります。糖は果物や牛乳に自然に含まれ、多くの食品に加えられてもいます。でんぷんはパン、ごはん、パスタ、じゃがいも、豆類に含まれます。食物繊維は植物のうち完全には消化できない部分で、腸内細菌のえさになり、消化をゆっくりにし、満腹感を保ちます。
世界保健機関(WHO)は、遊離糖類(食品に加えられた糖と、はちみつ、シロップ、ジュースに含まれる糖)をカロリーの10%未満、理想的には5%未満、つまり1日約25g(小さじ6杯)に抑えるようすすめています 3。食物繊維は逆です。2019年にThe Lancetに掲載された一連のレビューでは、食物繊維を1日25〜29gとっている人は、最も少ない人に比べ、早死に、心臓病、脳卒中、2型糖尿病、大腸がんのリスクが15〜30%低く、全粒穀物にも同様の効果が見られました 2。ほとんどの人がとっている食物繊維は、それよりはるかに少ないのが実情です。
| 食品 | 量 | 食物繊維 |
|---|---|---|
| レンズ豆 | 調理後1カップ | 約15g |
| チアシード | 大さじ2 | 約10g |
| ラズベリー | 1カップ | 約8g |
| オーツ麦 | 調理後1カップ | 約4g |
| りんご | 中1個、皮つき | 約4g |
| 全粒粉パン | 1枚 | 約2〜3g |
| ブロッコリー | 調理後1カップ | 約5g |
脂質:いいもの、ほどほどのもの、避けたいもの
脂質は欠かせません。細胞膜をつくり、ホルモンをつくり、ビタミンA、D、E、Kを運びます。ただし1gあたり9kcalあるので、すぐに積み重なります。心臓にとっては種類が大切です。オリーブオイル、ナッツ、種子、アボカド、青魚の不飽和脂肪は、PREDIMED試験のように、心臓の健康の改善と結びついています 7。15の試験を対象としたコクランのレビューでは、脂身の多い肉、バター、チーズに含まれる飽和脂肪を減らすと、心血管イベント全体が約17%減り、特に不飽和脂肪に置き換えた場合に効果がありました 4。部分水素添加油に由来する工業的なトランス脂肪は、まったくとらないのがいちばんです。
マクロ栄養素の配分を決める
5つのステップ
- 計算ツールでカロリーの目標を出す。
- まずたんぱく質を決める:体重1kgあたり1.2〜1.6g。
- 脂質にカロリーの約25〜35%を割り当てる。主に不飽和脂肪で。
- 残りを炭水化物で埋める。主に全粒穀物、果物、野菜、豆類から。
- 食物繊維は1日25g以上を目指し、遊離糖類は少なめに。
| 配分 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
|---|---|---|---|
| バランス型(25 / 30 / 45%) | 約112g | 60g | 約203g |
| 低糖質寄り(30 / 45 / 25%) | 135g | 90g | 約113g |
配分は体重に関係する?
カロリーが同じなら、あまり関係しません。脂質、たんぱく質、炭水化物の量が異なる4つのダイエット法を2年間比べたPOUNDS LOSTでは、どれも体重の減り方は同じくらいでした 8。DIETFITSでも、健康的な低脂肪食と低糖質食で1年間の結果は同じようなものでした 9。代謝病棟では、超低糖質食に切り替えても、脂肪の減少はまったく速まりませんでした 10。十分なたんぱく質と食物繊維をとりながら、楽しめて続けられる配分を選びましょう。
誤解と事実
誤解 炭水化物を食べると太る。
事実 太るのは、どこから来たものであれ、とりすぎたカロリーです。炭水化物の量が大きく異なるダイエット法でも体重の減り方は同じくらいで 8、食物繊維の多い炭水化物は健康の改善と結びついています 2。
誤解 たんぱく質は多いほどいい。
事実 効果は1日に体重1kgあたり約1.6gで頭打ちになります 6。それ以上は、主にカロリーと費用が増えるだけです。
よくある質問
マクロ栄養素を数える必要はある?
いいえ。減量には、カロリーを数えるか、ダイエット法に従うだけで十分です。よくお腹がすく場合や筋肉を保ちたい場合は、たんぱく質を記録すると役立ちます。
食物繊維はどのくらいとればいい?
1日少なくとも25g。ほとんどの人にとっては、多いほうがいいとされています 2。お腹の張りを防ぐため、数週間かけて少しずつ増やし、水をたっぷり飲みましょう。
果物の糖は体に悪い?
丸ごとの果物に含まれる糖は遊離糖類には数えません。食物繊維と水分と一緒にとれるからです。フルーツジュースやスムージーは遊離糖類に数えます 3。
出典
- Leidy HJ, Clifton PM, Astrup A, et al. The role of protein in weight loss and maintenance. Am J Clin Nutr. 2015;101(6):1320S-1329S. doi.org/10.3945/ajcn.114.084038
- Reynolds A, Mann J, Cummings J, et al. Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses. Lancet. 2019;393(10170):434-445. doi.org/10.1016/S0140-6736(18)31809-9
- World Health Organization. Guideline: Sugars intake for adults and children. Geneva: World Health Organization; 2015. www.who.int/publications/i/item/9789241549028
- Hooper L, Martin N, Jimoh OF, et al. Reduction in saturated fat intake for cardiovascular disease. Cochrane Database Syst Rev. 2020;8(8):CD011737. doi.org/10.1002/14651858.CD011737.pub3
- Weigle DS, Breen PA, Matthys CC, et al. A high-protein diet induces sustained reductions in appetite, ad libitum caloric intake, and body weight despite compensatory changes in diurnal plasma leptin and ghrelin concentrations. Am J Clin Nutr. 2005;82(1):41-48. doi.org/10.1093/ajcn/82.1.41
- Morton RW, Murphy KT, McKellar SR, et al. A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. Br J Sports Med. 2018;52(6):376-384. doi.org/10.1136/bjsports-2017-097608
- Estruch R, Ros E, Salas-Salvadó J, et al. Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet Supplemented with Extra-Virgin Olive Oil or Nuts. N Engl J Med. 2018;378(25):e34. doi.org/10.1056/NEJMoa1800389
- Sacks FM, Bray GA, Carey VJ, et al. Comparison of Weight-Loss Diets with Different Compositions of Fat, Protein, and Carbohydrates. N Engl J Med. 2009;360(9):859-873. doi.org/10.1056/NEJMoa0804748
- Gardner CD, Trepanowski JF, Del Gobbo LC, et al. Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Weight Loss in Overweight Adults and the Association With Genotype Pattern or Insulin Secretion: The DIETFITS Randomized Clinical Trial. JAMA. 2018;319(7):667-679. doi.org/10.1001/jama.2018.0245
- Hall KD, Chen KY, Guo J, et al. Energy expenditure and body composition changes after an isocaloric ketogenic diet in overweight and obese men. Am J Clin Nutr. 2016;104(2):324-333. doi.org/10.3945/ajcn.116.133561
- Shai I, Schwarzfuchs D, Henkin Y, et al. Weight Loss with a Low-Carbohydrate, Mediterranean, or Low-Fat Diet. N Engl J Med. 2008;359(3):229-241. doi.org/10.1056/NEJMoa0708681
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